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糸球体疾患

糸球体疾患は、腎臓のフィルター機能を担う「糸球体」に炎症や障害が生じる病気の総称です。多くは免疫異常が背景にあり、尿中にタンパク質や血液が漏れ出すこと(蛋白尿・血尿)が特徴的です。

初期には自覚症状が乏しい場合も多く、健診や人間ドックでの尿異常が最初のサインとなることも少なくありません。放置すると腎機能が悪化し、慢性腎臓病や腎不全に進行することもあるため、早期の診断と適切な治療が非常に重要です。

糸球体腎炎の診断や治療には、腎臓の専門的な介入が必要になることが多く、当院でスクリーニング後疑わしい場合には、近隣の大学病院や機関病院を紹介させていただきます。

主な糸球体疾患

IgA腎症(IgA Nephropathy)

最も多い糸球体腎炎で、日本人に特に多く見られます。IgA腎症は、体を守る抗体の一種である IgA が糸球体に沈着することで起こる慢性の腎炎です。

  • 風邪や扁桃炎などのあとに血尿(赤い尿)や蛋白尿が出ることがあります
  • 感染とほぼ同時期に尿異常が出るのが特徴です
  • 多くの場合、症状は軽く、長い年月をかけてゆっくり経過します

一部では腎機能が徐々に低下することがあり、定期的なフォローが重要です。

腎生検で組織の炎症度や障害度を確認し、扁桃腺摘出やステロイド治療が必要になる場合があります。

 

溶連菌感染後糸球体腎炎

溶連菌感染後糸球体腎炎は、A群溶血性連鎖球菌(溶連菌)による咽頭炎や皮膚感染のあとに起こる急性の腎炎です。

  • のどの痛みや皮膚感染が治った1〜3週間後に発症します
  • 血尿、むくみ、高血圧が急に出ることがあります
  • 小児に多い病気ですが、大人でも起こります
  • 多くの場合は自然に改善し、予後は良好です

膜性腎症(Membranous Nephropathy)

中高年に多くみられる疾患で、大量の蛋白尿を伴う「ネフローゼ症候群」の主な原因の一つです。自己免疫の関与が示唆されており、ステロイドや免疫抑制剤による治療が行われます。

微小変化型ネフローゼ症候群(Minimal Change Disease)

特に小児に多い疾患ですが、成人にもみられます。顕微鏡では糸球体に明らかな異常が見られないものの、大量の蛋白尿とむくみをきたす疾患で、ステロイドに良好に反応することが特徴です。

巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)

糸球体の一部に硬化が起こる病気で、難治性の蛋白尿を呈することが多く、ステロイドに対して抵抗性を示すケースもあります。進行すると慢性腎不全に至る可能性があるため、早期の診断と長期的な管理が重要です。

症状の特徴

  • 蛋白尿(尿が泡立つ)
  • 血尿(目に見える、または検査でのみ判明)
  • むくみ(特に足やまぶた)
  • 高血圧
  • 倦怠感やだるさ
  • 体重増加(むくみによる)

当院での診療と対応

当院には腎臓専門医が在籍し、以下のような流れで診療を行います。

詳細な尿・血液検査

  • 尿蛋白/クレアチニン比(UPCR)
  • 尿検査 沈渣
  • ASOやIgAをはじめとした免疫グロブリン値、補体価、抗核抗体などの検査
  • 血清クレアチニン、シスタチンCによるeGFR、アルブミンなどの推移

腹部超音波(エコー)検査

  • 腎臓の形態的な変化を確認します。

腎生検が必要な場合は

診断や治療方針の決定のため、腎臓の組織を顕微鏡で詳しく見る「腎生検」が必要となることがあります。その場合は、大学病院などの専門施設と連携し、安全な環境で検査を実施します。

糸球体疾患の治療方針

疾患ごとに異なりますが、以下のような治療が基本となります:

  • ステロイド薬や免疫抑制剤による免疫治療
  • 塩分・タンパク制限などの食事療法
  • 血圧・尿蛋白のコントロール(RA系阻害薬など)
  • 腎性貧血や電解質異常への対応
  • 感染症の予防や定期的なモニタリング

まとめ

糸球体疾患は、放置すると腎不全に進行するリスクがある「見逃せない腎臓の病気」です。定期的な尿検査・血液検査で早期発見し、腎臓専門医とともに適切な治療を受けることが、将来の腎機能を守る鍵になります。

健診で異常を指摘された方、尿に異常があると言われた方は、ぜひお早めに当院へご相談ください。

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