健診で尿蛋白・血尿・腎機能低下を指摘された方へ
健康診断や人間ドックで、
「尿蛋白が出ています」
「尿潜血があります」
「腎機能が少し低下しています」
「eGFRが低めです」
と指摘され、不安になって受診される方がいらっしゃいます。
腎臓の異常は、初期には自覚症状がほとんどないことも多く、健診で初めて見つかることがあります。
「放っておいてよいのか」
「すぐに精密検査が必要なのか」
「腎臓が悪いと言われたけれど、何をすればよいのか」
と迷われる方も少なくありません。
当院では、腎臓専門医が健診結果を確認し、必要な追加検査や今後の見通しについて、できるだけわかりやすくご説明します。
尿蛋白とは?
尿蛋白とは、本来は尿に多く出ないはずの蛋白が、尿の中に出ている状態です。
発熱、運動後、脱水、体調不良などで、一時的に尿蛋白が陽性になることもあります。
一方で、繰り返し尿蛋白が陽性になる場合や、尿蛋白の量が多い場合には、腎臓そのものの病気が隠れていることがあります。
代表的なものとして、糸球体腎炎など、腎臓の中の「糸球体」というフィルターに炎症が起こる病気があります。糸球体腎炎では、早い段階では症状がほとんどなく、健診の尿検査で初めて見つかることもあります。
また、高血圧、糖尿病、脂質異常症、肥満、喫煙歴がある方では、腎臓の血管に負担がかかり、少しずつ腎機能が低下していくこともあります。
尿蛋白を指摘された場合は、
「一時的なものか」
「腎臓の病気が隠れていないか」
「生活習慣病などによる腎臓への負担がないか」
を整理して確認することが大切です。
血尿・尿潜血とは?
尿潜血は、尿検査で血液成分が検出される状態です。
尿潜血が陽性でも、目で見て赤い尿が出るとは限りません。健診で初めて指摘される方も多くいらっしゃいます。
原因としては、膀胱炎、尿路結石、腎臓の病気、前立腺の病気など、さまざまなものがあります。女性では月経の影響で陽性になることもあります。
一度だけの尿潜血で大きな問題がないこともありますが、繰り返し陽性になる場合や、尿蛋白を伴う場合には、腎臓の病気が隠れていないか確認が必要です。
特に、尿蛋白と尿潜血の両方を指摘された場合は、腎臓のフィルターである糸球体の病気が関係していることもあるため、一度きちんと確認しておくと安心です。
腎機能低下・eGFR低下とは?
健診結果に記載されている「eGFR」は、腎臓の働きを示す目安です。
eGFRは年齢とともに少しずつ低下することがあります。
そのため、年齢相応の変化として経過を見る場合もあります。
一方で、以前の健診結果と比べて急に下がっている場合や、年齢の変化だけでは説明しにくい低下がある場合には、原因を確認した方がよいことがあります。
腎機能低下は、初期には症状がほとんどありません。
むくみ、だるさ、息切れ、食欲低下などが出る頃には、ある程度進行していることもあります。
そのため、健診で早めに異常を見つけ、血圧、尿蛋白、糖尿病、脂質異常症、生活習慣などを確認しながら、腎臓を守る対策を考えることが大切です。
**クレアチニンとシスタチンCについて
また、健診や人間ドックでは、腎機能の項目で クレアチニン Cr を測定することがほとんどです。
クレアチニンは、筋肉量の影響を受けやすい検査です。
筋肉量が多い方では、腎機能が悪くなくてもクレアチニンがやや高めに出ることがあります。
反対に、高齢の方や筋肉量が少ない方では、腎機能が低下していてもクレアチニンがあまり高くならず、実際より腎機能がよく見えてしまうことがあります。
そのような場合に参考になる検査として、「シスタチンC」があります。
シスタチンCは、クレアチニンに比べて筋肉量の影響を受けにくく、より正確に腎機能を反映する場合があります。
特に、高齢の方、筋肉量が少ない方、体格が小さい方、クレアチニンだけでは腎機能の評価が難しい方では、シスタチンCを測定することで、腎臓の働きをより丁寧に確認できることがあります。
当院では、健診結果のクレアチニンやeGFRの数値だけで判断するのではなく、年齢、体格、筋肉量、これまでの検査結果、尿蛋白や血尿の有無などもあわせて確認します。
必要に応じてシスタチンCを測定し、現在の腎機能をより正確に評価します。
受診した方がよい健診結果の例
以下のような場合は、一度ご相談ください。
- 尿蛋白を指摘された
- 尿潜血・血尿を指摘された
- 尿蛋白と尿潜血の両方を指摘された
- eGFRが低い、または腎機能低下と書かれていた
- クレアチニンが高いと言われた
- 以前よりeGFRが下がってきている
- 高血圧、糖尿病、脂質異常症があり、腎臓も気になる
- ご家族に腎臓病の方がいる
- 健診結果の見方がよくわからない
- 「要再検査」「要精密検査」と書かれていて不安がある
健診結果に異常があったからといって、すぐに重い病気というわけではありません。
ただ、今の状態を一度確認しておくことで、安心につながることもあります。
当院で行う主な確認
受診時には、健診結果を拝見し、必要に応じて以下のような確認を行います。
- 尿検査の再検査
- 尿蛋白の量の評価
- 尿沈渣検査
- 血液検査による腎機能の確認
- 血圧の確認
- 糖尿病、脂質異常症、尿酸値などの確認
- 腎臓や尿路の超音波検査
- 必要に応じた専門医療機関への紹介
すべての方に多くの検査が必要というわけではありません。
健診結果、年齢、これまでの病気、内服薬、血圧、尿検査の程度などを見ながら、必要な検査を判断します。
過去の健診結果がある場合は、以前の腎機能や尿検査と比較できるため、より詳しく判断しやすくなります。
腎臓病は「早めに気づくこと」が大切です
腎臓は「沈黙の臓器」と言われることがあります。
初期には症状が出にくく、自分では気づきにくい臓器です。
一方で、早い段階で尿蛋白や腎機能低下に気づき、血圧や生活習慣を整えることで、腎機能の低下をゆるやかにできる可能性があります。
また、糸球体腎炎などの腎臓の病気は、尿検査の異常をきっかけに見つかることがあります。
早めに見つけることで、適切な経過観察や治療につなげられる場合があります。
健診で異常を指摘されたからといって、必要以上に心配しすぎることはありません。
ただし、「症状がないから大丈夫」と自己判断せず、一度確認しておくことをおすすめします。
健診結果をご持参ください
受診の際は、健康診断や人間ドックの結果をご持参ください。
過去の結果がある場合は、あわせてお持ちいただくと、変化の経過を確認しやすくなります。
当院では、腎臓専門医が、健診結果の意味や今後の方針について丁寧にご説明します。
尿蛋白、血尿、腎機能低下、eGFR低下を指摘された方は、お気軽にご相談ください。
