睡眠時無呼吸症候群
睡眠時無呼吸症候群(SAS)について
睡眠時無呼吸症候群(SAS: Sleep Apnea Syndrome)とは、睡眠中に何度も呼吸が止まる、または浅くなる病気です。
10秒以上の呼吸停止が一晩に30回以上起こることもあり、深い睡眠が妨げられ、日中の眠気や集中力低下など、さまざまな症状を引き起こします。
もっとも多いタイプは閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)で、これは上気道(のど)が睡眠中にふさがってしまうことで起こります。
太っている方、首が太い方、あごが小さい方、いびきをかく方などがなりやすい傾向にあります。
主な症状
- 大きないびき
- 睡眠中の無呼吸(家族から指摘されることが多い)
- 日中の強い眠気
- 起床時の頭痛
- 集中力や記憶力の低下
- 夜間頻尿・熟睡感のなさ
- 不安感や抑うつ症状
これってもしかしたら・・・?と思ったら、まずは検査がおすすめです。
放置するとどうなる?
睡眠時無呼吸症候群を放置すると、次のような重大な健康リスクにつながる可能性があります:
- 高血圧、心筋梗塞、脳卒中のリスク上昇
- 2型糖尿病の発症リスク上昇
- 交通事故や労働災害のリスク上昇
- うつ症状・記憶力低下・認知症リスク増加
- 死亡率の上昇 (治療群と無治療群で 5年後の死亡率に20%の差があると言われています)
診断方法
当院では、次のような検査を行っています。
- 簡易検査(在宅):
携帯型の検査機器が自宅に郵送されますので、説明書にしたがって検査します。睡眠中の呼吸の状態を記録します。
手軽で患者さんへの負担が少ないため、まずはこちらから始めることが多いですが、睡眠時無呼吸症候群以外の睡眠の問題は分かりません。
3割負担で3000円程度です。
- 精密検査(ポリソムノグラフィー):
必要に応じて、睡眠専門施設にて一泊入院のうえ、より詳細な検査(脳波、筋電図、呼吸、心電図などを含む)を行います。
睡眠時無呼吸症候群だけでなく、むずむず足症候群や睡眠時随伴症の診断ができます。
また、MSLT(Multiple Sleep Latency Test:反復睡眠潜時検査)と組み合わせることで過眠症の診断もできます。
費用は3割負担で3万円程度です。こちらの検査を希望される場合には、紹介させていただきます。
治療方法
症状や重症度に応じて、次のような治療法を提案します。
- CPAP(シーパップ)療法: 第一選択!
中等度~重度の患者さんに対して推奨される治療です。就寝時に鼻に装着したマスクから空気を送り、気道を広げて無呼吸を防ぎます。非常に効果的で、多くの方で日中の眠気や倦怠感が改善します。
機械貸し出しから細かい圧設定、使用する中での調整や管理は、業者(帝人など)と医療者とで連携して行います。基本的には月に一度の受診が必要です。
- マウスピース(口腔内装置):
軽症の場合やCPAPに抵抗がある方に。下あごを前に出すことで気道を確保する装置です。
睡眠時無呼吸症候群を対象にしたマウスピースの作成には専門性が必要ですが、対応している歯科が少ないです。
また気道狭窄や閉塞以外の原因では改善できないことなど、効果には個人差があります。
- 生活習慣の改善:
- 減量(特に腹部肥満の解消) :20歳からの体重増加が10kg以上ある場合は要注意です。
- 禁酒・禁煙
- 横向きで寝る習慣
- 睡眠時間の確保と睡眠環境の改善
「いびきは病気のサイン」かもしれません
「たかがいびき」と見過ごされがちですが、睡眠時無呼吸症候群は命に関わることもある深刻な病気です。
気になる症状がある方、日中の強い眠気でお困りの方は、お早めにご相談ください。
ポリソムノグラフィのイメージ CPAP療法のイメージ