蛋白尿、どうする?
おはようございます。
副院長の私、腎臓内科が専門です。
今日は腎臓について、身近な異常であるタンパク尿について、触れてみようと思います。
腎臓ってすごい臓器なんですよ。
ひとことで言えば、体液管理をしている臓器です。血液の量と品質管理と言いますか、精密なメンテナンスを請け負っています。
それ以外にも、造血のホルモンを分泌したり、血圧に関わるホルモンを分泌したり、ビタミンDを活性化したり,,,
腎臓が左右二つあるのはご存知だと思いますが、人間の体は予備能がありますので、腎臓が半分くらいダメになってから初めて、腎機能の指標である血清クレアチニン値が上がってきます。
血清クレアチニン自体は、筋肉から毎日産生されるゴミのようなもので、腎臓で濾過されて尿の中に処理されます。
そのため、腎機能が落ちてくると、ゴミの処理が間に合わない状態になり、血液中に溜まってきます。
「腎機能が落ちてくると,,,」と書きましたが、腎臓のダメージの蓄積が慢性的な経過の場合、「腎機能が回復する!」ことがありません。
そのため、腎臓のダメージをもっと早く簡単に知るために、尿検査を行います。
尿検査でのタンパク尿(+血尿)は結構よくある検査異常ですが、腎臓の血液濾過装置である糸球体に異常がある場合があります(膀胱炎のような炎症でも陽性になることがあります)。
腎臓の血液濾過装置は優秀なので、体に必要なものは血液中に残し、いらないものは尿中に排泄するような振り分けをしています。
本来はタンパク質のような成分は漏らさない仕組みがありますが、糸球体の炎症がある場合は、必要な成分まで尿の中にこぼれて出てきてしまいます。
そのため、タンパク尿陽性!と聞くと、もしかして腎臓由来の炎症があるのではないかな?と考え、精査していくのです。
ややこしくなってしまいましたが,,
たかがタンパク尿ですし、自覚症状がない場合がほとんどですが、腎臓からの大切なメッセージかもしれませんので、放置せずにちょっと気にしてあげてほしいなと言うことです。
早期に腎臓の炎症がわかれば、適切な治療によって、腎臓のダメージを食い止めたり、悪化のスピードをゆっくりにしたりできます。
当院で尿検査はもちろん、血液検査、場合によっては腹部エコーを確認できます。
また、腎臓由来の蛋白尿(糸球体腎炎)を疑う場合は、大学病院などへ紹介しています。
健診で尿タンパクが指摘されたけどどうしようかな?とお悩みの場合は、お気軽に受診してください。