睡眠のはなし
睡眠専門のクリニックへ修行に出る様になって、約2ヶ月経ちました。
まだまだ、睡眠外来で独り立ちは難しそう、とても奥の深い分野だと感じます。
ようやく全体像が見えてきたので、ざっくりと所感を記録してみようと思います。
睡眠のお困りごとはシンプルです。
患者さんの訴えだけを抽出すると、
寝付けなくなった
何回も起きてしまう
日中に眠くて困っている
朝起きられないから、学校や仕事に支障が出て困っている
というのが圧倒的に多いです。
では、その主たる原因は何か?診断はどうか?というところがとても難しいのです。
若者に多いのが、極端な夜型パターンになって生活に支障が出る「睡眠相後退症候群」です。
いわゆる時差ボケのようなリズム障害の病態で、夜早く寝たいのに眠れなくて困る、反面朝がすっごく辛くて学校に行けない など実生活に支障がある場合には治療をお勧めします。
睡眠衛生環境の改善および薬物治療を中心に、概日リズムの改善が見込めます。
全年代で考慮するのが 「睡眠時無呼吸症候群」です。
いびきの自覚がなくても、睡眠ポリグラフ検査をやってみると意外と該当者が多いです。
診断されれば、CPAPという装置を睡眠中に装着する治療を開始します。
「睡眠時無呼吸症候群」は認知度が高いので、診断されてもいびきの病気でしょ?と甘く考えがちですが、メタボリックシンドロームとの関わりも深いですし、未治療だと死亡率も上がってくる怖い疾患です。
そのほか、中年以降増えてくる「むずむず脚症候群」のような疾患、「鉄欠乏性貧血」ベースの睡眠障害も意外と多いです。
単純に必要な睡眠が足りていない不調のこともありますし、何かのイベントなど精神的なプレッシャーで睡眠障害が出ることもあります。
うつ病の表現型として出ることもありますし、更年期障害の表現型のこともあります。
また、睡眠自体は摂れているのに、日中の病的な眠気が問題となる「過眠症」と呼ばれる病態のことも、、、
全体に言えるのは、睡眠衛生がとても大切!ということ。
特に「光環境」・「アルコール」・「カフェイン」の3つは、良い睡眠に影響しますので、必ず確認します。
また、睡眠障害の診療の難しさは、これらの病態や要素か入り混じって存在していること、かつ、診断自体を支持する検査がとても少ないことです。
なので、詳細な問診の大切さと、トライアンドエラーを繰り返しながらの継続的な治療が大切となってきます。
たかが、睡眠。
されど、良い睡眠の確保は、みんなの希望でもあります。
ちょっとずつ、糸口くらいはたぐれるようになってきましたので、睡眠でお困りの場合は、お気軽にご相談ください⭐️