ラムゼイ・ハント症候群?
葉加瀬太郎さんがラムゼイ・ハント症候群になったと、最近の報道で目にしました。とは言っても、大分回復して、元気に活動を再開している様子。
音楽家にとって耳は命だと思いますし、人前に出るお仕事なので、発症した時はかなりショックだったのではないかと思います。
それにしてもラムゼイ・ハント症候群て、なんだろう?と思った方もいるのではと思いますが、、簡単に言えば帯状疱疹の一つの型です。
帯状疱疹は、幼い頃に罹患した水疱瘡(水痘帯状疱疹ウイルス)が治癒後も神経節に潜んでおり、免疫低下で再活性化して起こる病気です。
神経節に沿ってヒリヒリと痛いただれたような水疱を伴う湿疹が特徴的で、全身のどこに発症してもおかしくないのですが、、、
中でも厄介なのが、このラムゼイ・ハント症候群のように耳や口の中の水疱形成、耳鳴り、難聴、めまいなどで発症する場合です。
耳性帯状疱疹とも言われ、片側の顔面神経麻痺を引き起こすことが知られています。
顔面神経は、顔の表情を作るための末梢神経なので、
・ひたいにしわを寄せられない
・瞼が垂れ下がって前が良く見えない
・目が閉じられず、目が乾きやすくなる
・笑いの表情がつくれない
・口角が下がって食べ物、飲み物がこぼれる
などの症状が片側だけ出ることになります。
また、第8脳神経にも症状が出るため、難聴や回転性めまいなども発症します。
(日本頭蓋顎顔面外科学会より抜粋)
帯状疱疹後の神経痛や神経障害は、ウイルス治療後にも後遺症として長く残ることがあり、これらの症状が一部でも残存すると、生活の質をかなり損ないます。
ラムゼイ・ハント症候群でなくても、帯状疱疹治癒後に終わらない疼痛が残って苦しむ方も多いです。
早期発見・早期治療が望ましいのはもちろんですが(診断後抗ウイルス薬投与を行いますが、治療開始が早い方がいいことがわかっています)、今は予防接種もおすすめです。
帯状疱疹に関しては、今まで効果が不安定な生ワクチン一択だったのですが、数年前から不活化ワクチン(シングリックス)がでて、かなり高い予防効果と帯状疱疹後神経痛の抑制効果があることがわかっています。
最大の欠点は費用が高いことなのですが(1回22000円を2回接種が必要)、世田谷区や各種自治体で約半額分の補助金を出すところも増えてきました。
また、予防効果自体も10年以上となっていますので、なんだかんだ毎年4000円程度の負担のイメージなら納得感もあるのではと思います。
予防接種を受ける対象者も50歳以上と限定されていましたが、数ヶ月前から年齢の厳密な規定は無くなりました。
帯状疱疹は本当に厄介なので、予防接種はおすすめです。
当院では予約制で行なっています。
もし受けようか迷う場合も説明いたしますので、お気軽に声をかけていただければと思います。