メニュー

麻疹(はしか)患者が急増中?!

[2024.03.18]

こんにちは。天気の良い日に春を楽しみたいのに、花粉がニクーイ毎日です。

 

さて表題の、麻疹。

テレビでも連日取り沙汰されていますし、戦々恐々としている方も多いのではないでしょうか。

 

麻疹は麻疹ウイルスによる、急性の全身感染症です。

症状の典型例としては、10日-12日くらいの潜伏期を経て、鼻水や咳、目の充血・38−39度などの風邪症状(カタル期)に始まります。そして熱が一旦下がります。

発症から2日位して39−40度の高熱と全身の発疹が出現します。この2相性の発熱が麻疹の一つの特徴です。

それだけなら良いのですが、肺炎や脳炎になる重篤な経過になる場合もありますし(麻疹の二大死因と言われています)、ごく稀(麻しん患者の10万人に1人)に麻しんにかかってから7~10年後に、知能障害、運動障害が徐々に進行し、発症から平均6~9ヶ月で死に至る亜急性硬化性全脳炎(SSPE)を発症することがあります。

そして有効な治療法はありません。対症療法が中心になります。

 

 

 

感染力は、最初の発熱の1日前くらいから発疹の初期までが最も強いと言われます。

そう、そして厄介なのがこの感染力。なんと空気感染するウイルスです(感染力の強さ: 接触感染<飛沫感染<<空気感染)。

大規模コンサート会場に、たった1人の麻疹患者さんが紛れているだけで、同じ空間にいた免疫のない人は感染する可能性がある、、、ということで、現在感染者の行動範囲や足取りを細かく報道しているわけです。

そして、免疫のない人が麻疹ウイルスに暴露された場合の発症率もなんと90-100%!! 恐ろしい感染伝播力です。

しかしながら、この「免疫のない人は、、、」というのがミソです。

そもそも平成27年の時点で、日本はWHOより「麻疹の排除状態にある」と認定を受けていました。

そのため、海外からの輸入例や輸入例からの感染事例を少数認めるのみで経過しており、純粋な国内発症例はほぼない状態でした。

それもこれも、麻疹ワクチンのおかげです。ワクチン一回での有効率95%で、原則的には終生免疫(免疫が一生続く)となります。

もちろん罹患しても同様に免疫を獲得するので、2度はかからないと言われていました。

 

なので、免疫さえあれば怖くない、、、はずなのですが、予防接種も穴があります。

この図がわかりやすいので、厚生労働省の発表した[予防接種に関するQ & A]から抜粋しました。

見ていただけるとわかるように、1歳から34歳までは2回の予防接種の機会がありました。

そして出生から1歳までは、原則お母さんからの免疫がありますので、1歳になった時点で1回目の予防接種を受けるスケジュールになっています(海外に行く場合などは、生後半年で打つこともあります)。

34歳から51歳までの年齢の方は、幼児期に1回接種しているはずです。1回接種でも、抗体獲得率95%と言われていますので、概ね大丈夫。

51歳より上の年代は、予防接種の機会がありませんでしたしかしながら、小児期に罹患した人が多い年代でもあります。

 

というわけで、母子手帳などで当時の接種記録が確認できるのであれば、まずは確認をおすすめします。

また、接種や罹患が不明の方は、手っ取り早く現時点での抗体価を調べるという考え方もあります。

血液検査で抗体価を確認、抗体価が十分であればOK、もし抗体価が低ければ(接種や罹患にもかかわらず、低い方もいます)、改めて予防接種を受ける、という流れです。

自費にはなりますが、抗体価の確認をご希望の方は来院ください(当院では 5000円 になります)。

 

ただ、麻疹ワクチンは、風疹ワクチンとの混合ワクチン(MRワクチン)なのですが、現在出荷調整がかかっています。

そのため受けたい場合に、必ずしもワクチンの準備ができるかどうか不明ですので、その点はご承知おきください ( 注文はかけているのですが、、、)。

 

また、感染流行の場合にできる他の防御手段としては、N95と言われるマスクの着用があります。

感染経路は接触感染などもありますし、N95マスクを正しく着用するのは難しいため、100%防げるわけではありません。ですが、空気感染するウイルスにも有効です。

今後麻疹が流行し、免疫があるかわからない、人が集まるところに行かなければならない、という場合には、一つの案になるかと思いますので、載せておきます。

 

このまま、数人の感染者で推移し、流行しないことを祈るのみです。

 

 

 

HOME

▲ ページのトップに戻る

Close

HOME